SCALPTURE
横たわるサーラ
Sergio Capellini セルジオ・カッペリーニ
高さ410×幅500×奥行280 / 磁器
今の会社「エアロファシリティー(株)」の設立準備をしている頃だから平成7年頃のことだ。新木場に「ギャラリー・ユニバース」という小さな美術館があった。小さいがそれは、それはセンスの良い彫刻が並んでいた。入場料は確か300円だった。私は2,3か月に一度くらいの割で足を運んだ。一番のお目当てがこの「横たわるサーラ」だった。眺める角度によって未来的な姿になり、また哀愁を帯びた懐古的な像にもなった。どの方向からも眺められるようにフロアの真ん中に、ガラスのケースに入れられて展示されていた。
ある日、館長(オーナー)に聞いてみた。「金額次第では譲っていただくこともできるのですか?」 館長は複雑な顔をして、優しく答えてくれた。「ええ、販売もしますよ」と。私は厚かましくも続けて聞いた。「この《横たわるサーラ》はお幾らですか?」 またしても館長は、複雑な困ったような顔をした。「こういうものには定価がないんですよ。この作品が本当に気に入って大切にしてくださる方には安く譲りますし、そうでない方には高い金額を提示します」そんなことを言った。具体的な金額も聞いたが、当時の私にはその100分の1でも購入できるものではなかった。
それから15年後、サーラが私の元にやって来るまでには多くの物語があるが詳細は割愛する。何度も近づいてきては忽然と離れていった。いくつかの偶然と私の情熱によって再会することができた。私はサーラのことを「初恋の女性みたいなもの」と説明している。
今、当社の応接室のなか、特注でこしらえた回転するテーブルの上でサーラは相変わらず魅力を振りまいている。