九州大学を卒業し昭和57年東京にやってきた。もちろんまだ独身だった。ある日、東京医科大に通う医師の卵であった友人に誘われて合コンに行った。私にとって場違いな合コンであった。男も女も金持ちばかりだったのだ。サラリーマン1年生は私だけ。女性たちはゴルフかテニスかスキーが趣味のお嬢様ばかり。男は医師が多かった。日本航空に勤務する30歳くらいの方が幹事だった。華やかだった。私はどうしていいか分からなかった。

　場所は渋谷にできたばかりの高級フランス料理店「ザ ハウス オブ 1999」瀟洒な洋館だった。エルテの彫刻があちこちに並んでいた。

　あれから30年以上経った。「ザ ハウス オブ 1999」は「ロアラブッシュ」と名前が変わったが、今なお多くのエルテ像に囲まれて営業を続けている。相変わらず素敵なお店である。