コラム
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「新・ヘリポートの造り方」
2025.03.21
本当にあった失敗ヘリポートの実例 その1
私はこれまで、多くのヘリポートを見てきました。中には「なんでこうなっちゃったの?」と首をかしげたくなるものもありました。ここでは我が国のヘリポートで実際にあった「残念なヘリポート」の例を紹介します。
急勾配でストレッチャーが走り出す
A病院の屋上の着陸帯(場外離着陸場)は勾配がきついため、注意しなければストレッチャーが走り出してしまうのです。「運輸省」がチェックする正式なヘリポートでは到底許されるものではないのですが、チェックが緩い場外離着陸場ではこのようなことがたまにあるようです。
過度な勾配は危険
ダウンウォッシュでコンクリ片が飛散する
コンクリートヘリポートの最大の弱点がコンクリート片の飛散です。B病院では屋上の着陸帯(場外離着陸場)に防災ヘリが着陸するときにダウンウォッシュでコンクリート片が飛び散りました。幸い地上には誰もいませんでしたので事なきを得ましたが、時間が少しずれていれば、けが人が出たかもしれません。そのため防災航空隊は病院に、床面の全面補修を要望しました。私が知っているだけで5、6件は似たような事例があります。
ダウンウォッシュの影響で起こる地上での事故
ヘリコプターのダウンウォッシュの威力は、設計者の予想をはるかに上回ることがたまにあります。駐車場上空を飛んだヘリコプターのダウンウォッシュで小石や砂粒が跳ね、クルマに小さな傷がつくといった事例はしばしば報告されています。C病院では8階建ての屋上の着陸帯(場外離着陸場)から離陸したヘリコプターのダウンウォッシュで駐車場のポールが倒れ、車を傷つけてしまいました。飛行ルート直下には絶対に人や物が入らないように注意することが必要です。