エアロファシリティー株式会社

コラム

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「新・ヘリポートの造り方」

2025.03.12

ヘリポートと同じ構造ではないものに飛行場外離着陸許可が出ている現状


本来、屋上の場外離着陸場は「ヘリポート」の着陸帯と同じ基準で造られるべきです。ところが近年、ドクターヘリの普及に伴い「場外申請」の数が急増しました。担当する「地方航空局保安部運用課」はその一つひとつを現場に行って確認することなどできません。「離着陸に関し事故を防止するための措置」を運航者(申請者)に記入させるだけで実際にはほとんどが慎重にチェックをされることなく許可が下りている状況です。「着陸帯の強度や大きさに関する安全性は運航者が確認している。だから許可した」というのが「航空局保安部運用課」の言い分なのでしょう。我が国の運航者はまじめな方ばかりですから「虚偽の申請」は多くありません。しかしながら「間違えた申請」は非常に多いのです。

 

急増する申請にチェックが追いつかない

 

「現状の強度」と「設計強度」の混同

第1章で説明しましたがヘリポートの床面はヘリコプターの着陸時の衝撃に耐えるだけの強度が必要です。「ヘリポート」は設計の段階から「運輸省」の土木専門官がチェックします。一旦許可を出した後も定期的に「運輸省」の専門官が現地まで足を運び確認します。ですから「ヘリポート」の強度に心配はありません。これに対し「飛行場外離着陸場」は運航者が床面強度を確認することになります。運航者には床面強度に関する知識がありませんから設計者に訊ねます。ここで間違えたインフォメーションが流れることになるのです。「場外申請」では現状の強度を確認したいのですが、設計者は設計当初の強度を答えます。しかし、防水を施していないコンクリートは劣化しますから、完成から10年、20年経った着陸帯の中には設計当初の強度を確保できないケースもあります。したがって、運航者が「着陸帯は十分な強度があり安全に着陸できます」と報告したものの、実際には十分な強度があるとは言えない状況も少なくないのです。何度も繰り返しますが「防水していないコンクリートは劣化する」のです。「保護コンクリートだから防水しなくてもいい」ということではないのです。実際、劣化した保護コンクリートが飛散した例が多く報告されています。おそらく「場外申請」の手続きも早晩、設計時ではなく、現状の床面強度を確認することになると私は確信しています。人身事故が起こってからでは遅すぎますからね。

「飛行場外離着陸場」なら病院ヘリポートマークが描ける利点

本来ならすべての病院屋上の着陸帯には「病院ヘリポートマーク」を描くべきなのですが、おかしなことに我が国ではそこが①「ヘリポートである場合」あるいは②「緊急離着陸場を兼ねる場合」には「病院ヘリポートマーク」を描けないのです(このおかしな規則もいずれなくなるだろう、と私は思っています)。現在、日本の屋上着陸帯で「病院ヘリポートマーク」を堂々と描くことができるのは明確な法規制のない「飛行場外離着陸場」だけなのです。そんな理由もあり当社では数年前から、病院に対しては「ヘリポート」と同じ強度、同じ仕様で造って、病院ヘリポートマークを描ける「飛行場外離着陸場」の設置を勧めることが多くなりました。

 

「新・ヘリポートの造り方」

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