コラム
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「新・ヘリポートの造り方」
基礎知識
2024.09.18
「新・ヘリポートの造り方」計画段階からの注意点 : 屋上ヘリポートの場合 その4
前回のコラム→「新・ヘリポートの造り方」計画段階からの注意点 : 屋上ヘリポートの場合 その3
チェック5【メンテナンス】
「メンテナンスが簡単」であることは大きなメリットです。ドクターヘリが普及する前まで、日本の病院の屋上のヘリポートは、ほとんど利用されることがありませんでした。それが、ドクターヘリの普及に伴い、反復利用される時代へ変わり、繰り返しの離着陸に耐えうる強度が求められるようになりました。前述したように、ヘリコプターが着陸する時の荷重は、非常に大きな「衝撃荷重」です。コンクリート床は、この繰り返しの「衝撃荷重」に弱く、経年劣化とともに保護コンクリートに「ひび割れ」や「欠片」が生じることが多いのです。
具体的には、収縮目地付近のコンクリートが欠けます。十分注意して施工しないと、鉄筋のかぶりが少ないところから雨水が浸透し、コンクリート内部の鉄筋が錆びて膨張、これにより「鉄筋爆裂」が起こり、クラックが生じます。そして、ヘリコプター着陸時に生じる叩き落とすような強烈な風、ダウンウォッシュにより、小さなコンクリート片は吹き飛ばされます。まさに「ウォッシュされる」のですが、これが地上に落ち、子どもを含む歩行者らに当たるといった事故も心配されます。そのため、コンクリート床の屋上ヘリポートは、常に表面のチェックを行わなければならないのです。ところが多くの場合、最初の2~3年はまずそのような事態が発生しないので、いつの間にか慣れてしまって油断し、チェックを怠るようになってしまうのです。
その点、アルミはコンクリートのような「ひび割れ」や「欠片」が生じないため、メンテナンスが楽です。基本的にチェックする必要はありません。ヘリポートや緊急着陸帯には「繰り返し荷重」に50年以上耐えることのできるアルミ床を断然お勧めします。
チェック6【水道等】
屋上ヘリポートの必須条件ではないのですが、着陸帯付近まで上水道が届いていると何かと便利です。台風の後の塩害を防ぐために推奨される着陸帯の洗浄などが可能になるからです。
チェック7【油水分離装置】
万一、屋上ヘリポートへの着陸に失敗し、燃料やオイルが機体から漏れ出した場合に備えた対策が義務付けられています。万一の事故でも燃料が直接下水へ流れ込むことがない措置が必要です。そのため、着陸帯よりも低い場所に油水分離装置を設置するべきです。