コラム
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「新・ヘリポートの造り方」
基礎知識
2024.08.14
「新・ヘリポートの造り方」 計画段階から注意すべき一般的なチェック項目 その3
ヘリポートを設置するのはどこが良いのか。多くの要因をつぶさに検討し総合的な判断で最適箇所を探し出しましょう。
チェック項目を列挙します。
(計画段階から注意すべき一般的なチェック項目 その2はこちら)
チェック④【飛行経路】
ヘリコプターは極力、道路や民家の上空は避けて飛びたいものです。最近のヘリコプターはエンジンの信頼性も高まり飛行時のエンジントラブルなどはめったにないのですが、それでもパイロットは常に「今エンジンが止まったら」を想定しながら操縦しています。「今エンジンが止まったらあそこに緊急着陸しよう」という場所を常に意識して飛行しているのです。飛行経路近くに河川や農地あるいは森林など広い場所があると安心です。
チェック⑤【動線】
ドクターヘリで運ばれてきた傷病者をICUやERへ搬送するルートの途中に階段がある病院をいくつか知っています。職員が数人がかりでストレッチャーを抱え、搬送しています。とんでもない話です。傷病者への負担が少なく、人手で持ち上げることなく、ICUやERへ速やかに移動できる動線を確保するべきです。病院ヘリポートの役割は重篤な傷病者を受け入れるだけではありません。入院患者を他の病院へ搬出することも意識しなければなりません。「ヘリポート⇒ICUやER」の動線と同じく「入院病棟⇒ヘリポート」の動線も事前に検討しておきましょう。
スロープはできれば1/15程度の勾配にするべきです。距離が短い場合でも1/12よりもきつい勾配は避けるべきです。
チェック⑥【近隣空港の管制圏】
我が国は狭い国土の中に非常に多くの空港があります。それらの既存空港の管制圏内ではドクターヘリといえども自由に飛行できないことがあります。ヘリポートの設置計画時に、運航や飛行ルートなどにかかわる近隣空港との事前調整を、航空コンサルタントなどを通して行っておく必要があります。
チェック⑦【消防ヘリ、防災ヘリ、警察ヘリ、ドクターヘリとの協調体制】
新たにヘリポートを設置する場合、既存空港の管制との調整と同時にそのエリアの公的ヘリ(消防ヘリ、防災ヘリ、警察ヘリ、ドクターヘリなど) の運航者への報告が必要になります。計画段階で報告することによってヘリポートの設計に当たって有益なアドバイスをもらえることも多いものです。