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基礎知識

2024.08.08

「答えは防災ヘリポート」③ 全国にできている「?」な津波タワー


政府の「地震調査委員会」では、これから30年以内に、高い確率で東海地震、東南海地震、南海地震が発生すると予想されています。すべてマグニチュード8以上の巨大地震です。この予想を受けて対象地域では『減災』のための準備が進んでいます。全国には数多くの「津波タワー」や「津波対策ビル」が建設されました。インターネットで「津波タワー」と画像検索すれば様々な形の構造物が現れます。私も、東日本大震災以前から各地の津波タワーを見てまわっていますが、首を傾げるものばかりで、疑問符を付けざるをえません。

 

立地面で「?」のもの、コスト面で「?」のもの、そして運用面や維持管理で「?」のもの。例えば、周りに民家はほとんどないのに海沿いの空き地に建てられた津波タワー。津波の時には山側へ逃げるのが当然の行動で、いくらタワーがあるからと言って海側へ駆け出す人がいるのでしょうか。ましてその地域の住民の多くは老人ばかりなのです。あるいは数億円は掛けたと思われる立派な灯台状のタワー。不便な高台に建てられ普段は誰もやってきません。津波になって老人がたどり着けるのかさえ心配です。維持費も相当かかっているとのことでした。

 

わざわざ海側に避難する人はいない

 

高台になぜ、津波タワーが必要なのか?

 

洪水対策タワーにも「?」なものが見られます。すぐ隣には立派なビルがあるのに、そのビルに併設して洪水対策タワーが建てられています。しかもタワーよりもビルの方がはるかに高いのです。「ビルの3階から渡り廊下で直結」などと謳っていますが、それなら最初からそのビルに収容すればいい。住民はなぜそのようなタワーの建設を許したのか不思議でならないのです。

 

ビル内に避難所、屋上にHマークの発想はなかったのか?

 

不思議なのはそれら多くの津波対策、洪水対策の施設にヘリポートがないことです。「R」と描いてあり、住民にはいかにも「ヘリポートありますよ」と思わせているものも見かけます。「R」マークにはヘリコプターは着陸できません。ヘリコプターの離着陸に耐えうる強度がないのです。そのため「R」マークの個所ではヘリコプターはホバリングで近づきホイスト(ワイヤロープ巻き上げ装置)を使って救助することになります。危険ですし時間がかかります。1人を助けるのに10分かかります。一方「H」マークと呼ばれるヘリポートを作っていればヘリコプターは着陸でき、1分で10人を救助することが可能になります。
なお、Hマーク、Rマークおよびヘリポートに関することについては、弊社発行の関連書籍『新・ヘリポートの造り方』に詳しく説明がされているので、お求めいただければ幸いです。

小冊子『答えは防災ヘリポート 著:木下幹巳』より抜粋

 

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