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基礎知識
2024.02.09
ICAO (国際民間航空機関)による衝撃荷重の考え方
ICAOではヘリコプターの着陸時の衝撃荷重の考え方を明確に示しています。そして、それらの荷重に耐えるだけの応力を着陸帯に求めているのです。
一つは着陸帯独特の「曲げ」に対する荷重の考え方。もう一つがこの「パンチングシャー」と呼ばれる超短期の荷重への応力です。それ以外は各国の建築基準法に任せるということでしょう。ここで詳しくICAOが求める着陸帯の「曲げ応力」と「パンチングシャー応力」を確認しましょう。
ICAOでは、ヘリコプターの着地衝撃による荷重計算のための数値を以下のように示しています。これらの数値を使って「曲げ応力」と「パンチングシャー応力」を計算します。
ICAO が示す荷重計算
①終局限界荷重=最大離陸重量の2.5倍
I C A Oでは終局限界状態での着陸を「3.6m / 秒の降下率での着陸」としています。この時の衝撃荷重は、静止荷重の2.5倍になるということです。終局限界荷重とは着地衝撃による動荷重のこと。終局限界状態での着陸とは、緊急着陸などで激しく着陸することを想定しており、起こることはそれほど多くありません。ちなみに物理学的に3.6m/ 秒は、地上66㎝からの自由落下で地上面に衝突するときの速度です。小粒の雨も同程度です。
②共振応答係数=1.3
I C A O では構造物の応答特性を考慮し、動荷重を増加させて検討することを勧めています。終局設計荷重を決める場合には共振応答係数として1.3を使用することを勧めています。
③終局設計荷重=最大離陸重量の3.25倍
(終局限界荷重)×(共振応答係数)によって得られるのが終局設計荷重です。上記①と②から最大離陸重量の3.25倍を使用することが勧められています。