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基礎知識
2023.12.27
「しっかりメンテナンスをすれば大丈夫」なんて嘘! 各地で相次ぐコンクリート崩落事故
2012年12月、山梨県の中央自動車道・笹子トンネルで天井板として使用されていたコンクリート床版が崩落し、9名が死亡する事故がありました。
土木の知識がある者なら皆「なぜ天井にコンクリート床版が使われたのか不思議」と言います。通常、考えられない構造です。このトンネルを設計した方は「メンテナンスをしっかりやれば大丈夫」と考えたのでしょう。確かにメンテナンスをしっかりやっていれば防げた事故かもしれません。しかし「メンテナンスをしっかり」と申し送っても人手とコストがかかり大変なため、なかなかできないのが現実です。
笹子トンネルコンクリート床版崩落事故(時事)
2018年8月にイタリア北部のジェノバで起きた橋梁崩落事故も同じです。「メンテナンスをしっかりすれば事故は防げる」と言っても「メンテナンスの予算がなくて……」となってしまいます。
コンクリート崩落事故はあちこちで起こっています。「しっかりメンテナンスをすれば大丈夫」は理想的な話であって現実的ではありません。最低でも「メンテナンスを怠っても50年は大丈夫」と言える強度設計にするべきでしょう。
イタリア北部のジェノバのコンクリート橋梁崩落事故(EPA= 時事)
トンネル内コンクリート崩落事故(1999年10月10日付「中国新聞」)