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基礎知識

空飛ぶクルマと屋上Vポート

2022.02.18

空飛ぶクルマと 屋上 Vポート「空飛ぶクルマ」着陸帯に求められる注意点


ヘリコプター同様に「空飛ぶクルマ」も離着陸時には猛烈な強風が発生します。着陸帯の周りにモノが落ちていたら大変です。財布やスマートフォンくらいなら吹き飛ばされ舞い上がるほどの風力になることもあります。屋上面にはなにも置いてはいけません。注意していないとビルの屋上からスマートフォンが降ってくるということになりかねません。置き忘れのモノ以上に注意を払わないといけないのが、先にも繰り返し指摘しているとおり、コンクリートの欠片です。実際に屋上ヘリポートではコンクリート片が飛んだという事例が複数報告されています。

 

 

ビル屋上のコンクリート片の飛散は危険

 

遮音壁と“風返し”
屋上ヘリポートでは、遮音壁を飛行障害にならない位置に設置することは基本的に無理でした。ところが「空飛ぶクルマ」は直上からの垂直離着
陸ですから「Vポート」を遮音壁で囲うことは十分に可能です。私は「『屋上Vポート』に遮音壁は必須」だと思っています。
同様に「Vポート」には、高さ1メートル程度の“風返し”を設けることも可能です。利用者の安全や快適性の確保につなげることができます。

遮音壁は機体のすぐ近くに建てるのが理想ではあるが……

 

ヘリポートには“風返し”が設置できない

 

「Vポート」には“風返し”が設置できる

 

 

エプロン(駐機スペース)
「ヘリコプターが屋上ヘリポートを利用する」ことと「『空飛ぶクルマ』が『屋上Vポート』を利用する」ことは実はずいぶんと違うことのように思われます。自動車に例えますとヘリコプターはハイヤーで、「空飛ぶクルマ」は自家用車(マイカー)です。ヘリポートが駅前のタクシーの乗降スペース、「Vポート」は街中のコインパーキングやデパートの駐車場です。

 

 

「屋上Vポート」の着陸帯とエプロン

 

ヘリコプターは運転手(操縦士)がいて客が降りるとすぐに飛んで行きますが、「空飛ぶクルマ」には運転手がいません。客またはオーナーがそのビルで用事をすませる間は屋上待機となることでしょう。「Vポート」を設置できるのは大型ビルですから、多くの方が「空飛ぶクルマ」で飛来してくることを想定しておくべきです。複数の「空飛ぶクルマ」に対応するためにはエプロンと呼ばれる駐機のためのスペースを確保しなければなりません。十分な広さのエプロンが必要であり、エプロンを利用して充電やバッテリーの交換などが行われることになるのでしょう。着陸帯へは直上10〜15メートル程度からの降下が予測されるので、急降下を想定した床面強度が求められます。一方、エプロンは着陸帯から駐機のためにパーキングエリアへ移動するだけなので、せいぜい50センチメートル程度からの着陸となり、床面強度ははるかに小さくてすみます。

 

 

(「Vポート」Vertiport の略称、その他の呼称はバーティポート、バーチポート、ヴァーティポート、ヴァーチポートなど)

書籍案内「空飛ぶクルマと屋上 Vポート」

 

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