エアロファシリティー株式会社

コラム

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「新・ヘリポートの造り方」

2025.03.05

「飛行場外離着陸場」とは?


病院の多くが「場外離着陸場」を造っているが……

航空法第79条に「国土交通大臣の許可を受けた場合」、ヘリコプターは「ヘリポート以外の場所」でも降りていいということが示されています。この「ヘリポート以外の場所」で、「国土交通大臣の許可を受けてヘリコプターが着陸する場所」を一般的に「飛行場外離着陸場」(「場外離着陸場 」)と呼んでいます。

 

従来は飛行の都度、飛行目的や操縦士の氏名、ヘリコプターの型式を記入した「飛行場外離着陸許可申請書」(「場外申請」)を提出し、許可を受けなければなりませんでした。この原則は変わっていないのですが、近年、申請の数が急増したため、運航者の要望に沿って、最近ではまとめて数ヵ所の申請を出す「包括申請」や期限が切れても自動的に更新する「継続申請」などが許されるようになりました。

 

「運輸省」のチェックは非常に甘いものになっているようです。

 

2018年11月8日付「読売新聞」

 

この「場外申請」ですが、以前は地上の着陸帯のみが許され、屋上の着陸帯には許可が出ることはありませんでした。しかし防災ヘリやドクターヘリの活動が目立つようになった頃から傷病者搬送に限り屋上でも場外申請に許可が出るようになったのです。そのため病院の多くが「ヘリポート」ではなく「場外離着陸場」を造るようになりました。「ヘリポート」を造るためには手続きにカネと時間がかかることが多いが、「場外離着陸場」は比較的簡単に造ることができたからです。

 

当初は、「離着陸を繰り返すのですから『飛行場外離着陸場』ではなく『ヘリポート』を造ってください」と「運輸省」は指導していました。と言いますのも「ヘリポート」を造る場合は「地方航空局空港部管理課」が設計の段階から相談に乗り、指導してくれるのですが、「場外離着陸場」では指導する部署がないのです。

 

例えば、「こういう設計ですが、これだったら飛行場外離着陸許可は出ますか?」という質問を受けたり、相談に乗ってくれたりする部署が「運輸省」にはありません。担当部署がないのだから誰に聞いても「そのような質問には答えられません」と言うのです。イジワルしているのではないのです。当然なのです。

 

「場外離着陸場」は、そこに着陸しようとする「運航者」が事前にその場所に安全に着陸できるということを確認した上で申請するとされています。したがって、「運輸省」に「どのように造ったらいいか?」などと聞いても答えようがなく、担当部署もないのです。

 

この状態は現在(2019年8月)も続いています。「場外申請」を審査する「地方航空局保安部運用課」は屋上の着陸帯の安全については運航者(申請者)任せなのです。

 

ドクターヘリが普及し始めた1998年のことです。多くの設計会社の方が当社に屋上ヘリポートについてアドバイスを求めてきました。「場外離着陸場の造り方を教えてください」というわけです。そこで、当社はドクターヘリを運航する各社のヘリポート担当者と協議を重ね、「『場外離着陸場』も基本的に『ヘリポート』と同等のものを造るように指導しましょう」ということになりました。

 

「ヘリポート」を造るには「運輸省」と何度も協議を重ね公聴会を開く必要があります。一方「場外離着陸場」はそのような手間がないのです。「運輸省」のチェックがない代わりに運航会社が厳しくチェックするのです。この頃に造られた屋上の「場外離着陸場」は「ヘリポート」と同じ断面構造、同じ大きさで造られています。安全な「場外離着陸場」が、運航会社の厳しいチェックの下、造られていました。また当時の「地方航空局保安 部運用課」は「場外申請」を現在よりはかなり厳しく審査していたようです。私は多くの「場外申請」に添付するための強度計算書の作成をお手伝いしましたが、その当時の「場外離着陸場」の強度や大きさはみな「ヘリポート」と同等のものでした。

 

第1章で「ヘリポート」と「緊急離着陸場」の違いを説明しました。病院や都道府県庁、市町村役場、消防署など、ヘリコプターが繰り返し離着陸をすることを想定するのなら、「緊急離着陸場」ではなく“「ヘリポート」の構造にしなければならない”と説明しました。

 

 

“「ヘリポート」にしなければならない”とは書かず“「ヘリポート」の構造にしなければならない”と書いたのには訳があります。私が言いたいのは「『ヘリポート』にするべきだが、費用や時間的な問題でどうしても『ヘリポート』が無理なのであるのなら、せめてヘリポートと同じ構造の『飛行場外離着陸場』にしなければならない」ということなのです。

 

「新・ヘリポートの造り方」

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