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基礎知識
2024.08.08
「答えは防災ヘリポート」④ 目指すべき津波タワー、洪水タワー その1
前回のコラムでは、全国にできている「?」な津波タワーについてご紹介しました。
ではここからは、どのような津波タワー、洪水タワーが理想的であるのかを考えていきましょう。
① 専用ではなく兼用
私の知る限り全国の津波タワー、洪水タワーは災害対策専用です。実にもったいない。いえ、もったいない以前に危険でもあります。普段、利用されていない建物には「いざ」と言うときに駆けつけるのは難しいものです。「そのために年に1回、防災訓練、避難訓練をやっています」と役所の方は言いますが、多くの住民はその訓練に参加していないのが実情です。いざ、と言うときに入口が開かない、ということがあるかもしれません。エレベータが動かないかもしれません。さらに普段利用していない建築物は維持するだけでも多くのコストがかかります。
他の目的施設と兼用にすることで、普段から多くの住民が利用していればそのような心配は要りません。普段は公民館でもクリニックでもヨガ教室でもデイサービスでもいいのです。平時から住民がその施設を利用していることが大切です。普段は住民サービスに使われ、いざとなったら住民が避難できるという施設をつくるべきです。それが最も有効的な減災施設の活用です。
そのためにはタワーである必要はありません。集合住宅でも商用ビルでもいいのです。住民のみんなが知っていて普段から利用していることが大切なのです。できれば海側に建設するよりも、山側の「住民の多くが住むエリア」に建設していただきたいものです。
避難先は普段から住民に利用される施設であること
小冊子『答えは防災ヘリポート 著:木下幹巳』より抜粋