コラム
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基礎知識
2024.02.01
「パンチングシャー」という力
ICAO(国際民間航空機関)では、ヘリポートの着陸帯の強度に関して「引っ張り」「圧縮」「せん断」「曲げ」の力とは別にもう一つの力を想定しています。「パンチングシャー(Punching shear)」という力です。
「シャー」というのは「せん断力」のことなのですが、「パンチングシャー」は通常のせん断とは異なり文字通りパンチのような衝撃荷重のイメージです。材料力学的には「特定の面積にかかる超短期荷重」ということになります。
パンチングシャーは我が国の建築基準法の埒外にあり、ヘリコプター着陸施設は、この特殊な荷重に耐えるだけの強度が求められています。ヘリポート設計に携わる「運輸省」の空港業務課はこれらの基準を熟知し、設計において十分な耐力を持つように指導しています。
ところが緊急離着陸場を監督する「建設省」や各地方の消防署はICAOの求めるこの「パンチングシャー」に関しては十分に理解しているとは言えないようです。