コラム
ヘリポート業界の動向、知識などの情報を記事にしています。
基礎知識
2019.10.17
「緊急離着陸場」は建築構造物、 「ヘリポート」は土木構造物
東京・新橋にある当社のオフィスから見える景色には、東京タワー、大小様々なビル、道路(環状2号線)、鉄道(山手線や東海道線など)などがあります。これらの中で東京タワーと各種のビルは一般に「建築構造物」と呼ばれ、工業高校や大学の「建築学科」で学んだ者が造ります。
一方、道路や鉄道は「土木構造物」と呼ばれ、同じ工業高校や大学でも「土木学科」で学んだ者が造るのです。当社のオフィスからは見えませんが、地中の上下水道や橋、ダム、空港なども土木構造物です。
一般に土木構造物は土・水など、自然界の大きな圧力や、車および飛行機による大きな繰り返し荷重に耐えることを計算して造られます。一方、建築構造物は雨や風あるいは地震による揺れなどを考慮して設計されます。
ヘリポートは「建築構造物」でしょうか?「土木構造物」でしょうか?
ヘリポートは大きな繰り返しの荷重を受けることを前提としますので、それが例えビルの屋上に設置されていても本来は「土木構造物」なのです。
ヘリポートの設置を申請しますと「運輸省」の土木専門官が構造をチェックし、安全を確認した上で使用を許可するのです。
一方、「緊急離着陸場」は万一の火災発生時を想定して造られる施設ですから、もともと繰り返しの荷重は想定していないのです。
ですから土木の専門家のチェックは受けず、「建設省」の建築専門官がチェックし、建築の専門家の判断のみで造られているのです。
注:ヘリポートに関わる行政の動きをわかりやすく説明することと、縦割り行政に対する問題意識から、敢えて「運輸省」、「建設省」と旧名称を使用しています。現在の部署に言い換えた場合、「運輸省」は「国土交通省航空局」、「建設省」は「国土交通省住宅局」となります。